僕たちはクラクラとともに生きている

Clash of Clansをプレイする凡プレイヤーが、日々のクラクラ生活を題材にした小説を投稿しています

2017年06月

初めてお越しの方はこちらをご覧ください(*゚▽゚)ノ
http://frappuccino-coc.blog.jp/archives/7617251.html

夜の村 後編



ある日、とうとう私は我慢ができなくなった。
何があったわけでもない。いつもどおり時間が来たから、ビルダーホールを出て、私たちの村を目の当たりにしただけだ。
でも、私の中で、何かがぷつりと切れてしまった。
くるりと踵を返し、勢いにまかせ、身一つで船に乗りこんだ。


予定も用事も何もなく、昼の村に降り立った。
そこで私が見たもの。
私がやっていた仕事は、いつもお昼を一緒に食べていたあの娘が淡々とこなしていた。その娘の抜けた穴は、私が夜の村に行く直前に採用された学生あがりの新人が、確実さには欠けるものの最低限の役割はこなしているようだった。
私がいなくても、まわっていく世界。
あー、私の居場所は、ここにはもうなくなっちゃったんだなぁ・・・。
「おー、お疲れ様。今週の定例会議、日程変わったんだっけ?」
ぼんやりそこにたたずむ私に気づいたバーバリアンが声をかけた。
はっとした私は、逃げるようにそこを立ち去った。


海は穏やかで天気は良好。水面はキラキラと輝いている。
私はぼんやりと、船のスクリューによって作り出される白い水しぶきを眺めていた。



夜の船


夜の村に戻ってきたものの、なんとなく仕事をする気になれなくて、ビルダーホールの中に籠っていた。
どれくらい時間が経ったのか。ふいに大工が中に入ってきた。
「あれ、具合でも悪いのか?」
真新しい作業着に身を包んだ彼の問いかけに、あいまいな返事で応える。
それ以上は何も聞かず、大工は新しい図面と工具を見つけると、どっこいしょ、と外へ戻っていった。

そのまま私はビルダーホールの中で何をするでもなく過ごした。
仕事が終わると皆が戻ってきた。いつものように皆で夕食を囲んだが、今日の勤務中何処で何をしていたのかなど、誰も聞いてくることはなかった。


その日の夜、皆が寝静まった頃、私はふらりと外に出た。
とはいっても、いつも暗い村なので、朝なのか夜なのかはわからないけれど。
タワーの上では、夜勤のアーチャーが鋭い視線を周囲に送っている。無条件で村が攻められることはないのに、これまでの習慣というのは抜けないもののようだ。
エメラルド鉱山をぺたぺたと触り、ひんやりとした石の感触を楽しんでみる。昼の村にはない施設。
ラボを覗くと大工がいた。研究中のユニットの調子を見ているようだった。
仕事熱心だなぁとぼんやり見ていると、気配に気づいたのか大工が振り返った。
「おう、お疲れさん、具合は大丈夫なのかい?」
「うん、まあ・・・」
あいまいな返事をすると、大工は一度じっと私を見て、元の作業に戻った。
その後何とはなしに大工が仕事をする様を私は眺めていた。大工は慣れた手つきで淡々と仕事をこなしていく。何をやっているのかはわからなくても、見ているだけで不思議と退屈しなかった。

「ふー、ちょっと外に出ないか?」
小一時間ほど経った頃、ひと段落ついたのか、大工が口を開いた。
大工の後に次いで外に出ると、涼しい風が頬をなでた。
蛍の光が暗闇を照らす、私たちの新しい世界。
大工と一緒に寝っころがって、私は遠い夜空の星を眺めながら、とりとめのないことを話した。
どうして大工はユニフォームが新調されたのに、村娘のそれは変わらないのか、とか。
ちょっとドジな村娘が、誤って押し出しトラップに乗ってしまって、ものすごい奇声を上げて飛び上がったこと、とか。


大工&村娘



大工と別れ、ビルダーホールの自分の部屋に戻ると、テーブルの上にポットと、小さなメモが置いてあった。

『センパイ、体調悪いみたいって大工さんに聞きましたけど、大丈夫ですかぁ???
こっちの村はなんだか冷えるみたいですし、温かいもの飲んで身体を温めて、ゆっくりお休みくださいね~♪』

ふっと顔がほころんだ。

カップにドリンクを注ぎ、口に運ぼうとして、私は思わず苦笑い。
記憶違いでなければ、ジャスミンティーって、覚醒作用があるんじゃなかったっけ・・・。

窓の外を見やると、私たちの新しい村が蛍の光で仄明るく照らされている。


そうして今日という時間がやってきて、皆と一緒に村に出た。
同じ場所で、同じような1日を迎えるのに、自分の気持ちひとつで、これからの1日がやる気に満ちたり、逆に荷が重くてしょうがない1日になる。
不思議なもので、昨日と同じように私たちの村を目の当たりにしたけれど、自分自身はなんだかすっきりした気分で今日を迎えている。
村娘たちも大工も、昨日となんら変わらない。
私の心の中のどろどろには、ひょっとすると何か感づいているのかもしれないが、一見全く気づいていないような態度に見える。むしろそれはありがたいことであって。

「よ~し、では作業を始めましょう!」
いつもの私の日常が、今日も始まろうとしている。









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1.クラメン皆と仲良くなる
2.わからないことは何でも相談
3.無言での援軍申請はなし(挨拶してからチャットにインしましょう)

上記3つに賛同いただける方、興味を持たれた方はぜひ1度遊びに来てみてください~(*゜▽゜)ノ♪



夜の村 前編


夜村


仲間内で噂されていた、新しく開拓する村の件。
他人事のように聞き流していたが、まさか私に白羽の矢が立つとは思ってもいなかった。
このプロジェクトは、世界の未来の命運を担う、大変重大な責務なのだ。こんな重大なことを取りまとめられるのは君にしかいないと思って、ボクは君を推薦させてもらったんだよ。
唾を飛ばしながら熱弁する上司の言葉は、しかし私の心には響かなかった。
この世界に生きている私に、上司の命令に逆らうという選択肢は、ない。
私の担当する村はもう成熟しており、成長の先は見えていた。
毎日も単調なもの。資源集めというよりは練習を兼ねたマルチ、スキルアップのためのフレチャレ、合間に火蓋が切られるクラン対戦。ただただ、それをいつもどおりこなす日々。
周囲からの激励や羨望の声には、また一から村づくりよ、面倒だわ、と肩をすくめてみせていた。
でも、本当は心の奥底に、この退屈な日常が変えられるかもしれないという小さな希望があったのは否定できない。

出発の日がやってきた。
真っ白なタウンホールの前で、皆が私と、やはり同じようにこの任務に選ばれた大工や他の村娘たちを見送ってくれる。
私たちを乗せた船は、ゆらりと岸を離れると、大海原に向けて舵をきる。
どんどん陸地が遠ざかる。皆がいつまでも手を振ってくれていた。妙齢を迎え落ち着いたたたずまいを見せるキングとクイーンの顔が見えなくなると、急にどっと寂しさに襲われた。

「さーて、何から手をつけてやろうかなぁ」
大工が両手をパンパンと叩き、輝きに満ちた目で船の進行方向を見つめている。
どうやら彼は、今回の異動話に真っ先に手を挙げたらしい。物好きな人もいるもんだ、と思った記憶がある。
他の娘たちは、まるで小旅行に来ているのかのように、輪になってきゃっきゃとはしゃぎながらお菓子をつまんでいた。
波は穏やか。水面は太陽の光を反射し、キラキラと輝いていた。


わかってはいたつもりだったが、一から村を開拓する作業は、想像以上にしんどかった。
加えて、元いた世界と違い、急に敵から攻められて資源を盗られることはなかったが、代わりにこっちが上手く攻め込んでも、必ずしも資源が得られるとは限らなかった。
経験してきたからわかっている苦労と、システムが違うことによる想像していなかった徒労。
毎日毎日、くたくたになって眠りについた。

しばらくすると、何度攻めても負けが込んでしまい、村の成長は急速に停滞した。
上司に提出する日報に、「進捗なし」の文字が続く。
週1回、私は報告会議に向かう。そこでただただ叱責されてすごすご夜の村に戻る。そんな割合が増えてきた。
君たちの働きが、我々の村の運命も担っているんだぞ。
あっちの村は新たな開発に着手できているのに、我々は何も進められないではないか。
上司の唾を飛ばしながらのセリフも、一字一句繰り返すことができるようになったくらいだ。

「しょうがないよ、村の成長としては、今はどうしても停滞する時期だ」
「それより、もう少し資源が貯まれば、次は隠しテスラがアップグレードできるぞ~」
夜の村に戻り状況報告を大工にしても、彼は大きな図面を眺めながら、自分の建造物に思いを馳せるばかり。
これまで自分が考えてきた新しい建物を作り出すことに生きがいを見出している彼に、私の心労は理解しえないもののようだった。

「この壁あっちに動かしたいんだけどー」
「いやいや、動かしたらここに穴ができるでしょ」
「この木抜きたいんだけどー」
「資源残量考えたら、ここよりあっちの岩をどかさないと・・・」
「センパーイ、どうしたらいいですかぁ??」
何度教えても見通しを立てることができない村娘たち。私の危機感を共有してもらうのは難しそうだった。


私は、だんだん孤独感を募らせていく。仕事が終わると何も言わず寝床にもぐり、悶々とした思いと戦っていた。
もどかしさに涙が出そうなのを、必死にこらえていた。
キノコ1つ除去するのに大騒ぎの部下たち。
新しい施設を作ることしか頭にない脳筋大工。
村の進捗にしか興味がない上司。
誰も、私のことなんて理解してくれていないのだ。


ある日、とうとう私は我慢ができなくなった。
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